検証甲子園


2010年07月17日 佐藤薬品スタジアム  

智弁学園vs高円

2010年夏の大会 第92回奈良大会 2回戦



智弁学園は先発全員安打で9点大勝。主軸を打つ岩本も快音を響かせた。


智弁の逆襲始まる

智辯学園には忸怩たる思いがあった。
今春の県大会準決勝の天理戦、13-13で引き分けた後の再試合で、2-17という屈辱的なスコアで敗れたからだ。私学2強を形成しているライバルに大差をつけられ、「智辯学園の名に泥を塗ってしまった」とナインたちは屈辱感を口にした。

 そんな屈辱があったから、春季大会を終えてからのチーム状態は最悪だったが、小坂監督、木挽コーチは、選手たちに厳しく当たった。事あるごとに「また天理に負けるんか?」「だから負けるんじゃ」と鼓舞し続け、選手たちの気持ちを刺激したのである。
「上がってくるのを待ちましたね。それで、気持ちが上がってこないならそこまでのチームやし、上がってきたら戦えると。この子らはよう頑張りましたよ」と木挽コーチが言えば、小坂監督は「下級生が試合には出ていますけど、3年生のチーム。3年生は強化練習でも抜いたりしないで、一生懸命やってきた。天理に試練を与えていただいたんでね、今はやり返す気持ちがある」と語っている。

 試合は序盤こそスロースタートだったが、4回裏、5番に抜擢された1年生中道が口火を切る右翼前安打で出塁すると、4安打を絡めて、3得点。5回裏には4番・大西、中道の連続3塁打。1死後、4連続長短打を集めて、計4得点。6回裏には中道が右翼スタンドに本塁打を叩きこむなど2点を挙げて試合の大勢を決めた。

投げてはエースの米田が試合を作り、左腕の山崎、スーパー1年生の青山まで登板させる余裕を見せ、9-0の6回コールド勝ち。もちろん無失策で、強さを見せつけた。

大勝にも、試合後の智辯学園ナインには緩んだ空気は感じられない。「フライアウトが多かった」と悔しがった稲垣は、この2カ月をこう振り返った。
天理に負けた時はどうしたらいいかわからんくて、モチベーションも上がってこなかった。甲子園に出たりして、智辯学園は天狗になっていた部分もあったと思う。一皮むけるために、強くなるために、あの試合があった。6月の強化練習は例年以上に厳しかったんですけど、天理にやり返す気持ちがあったんで、乗り越えられた。今は粘り強いチームになっていると思いますし、甲子園に出たチームよりいいチームになったという自信があります」。

天理とやるには決勝まで進まなければならないが、だからといって、上を見ているだけではないのが、今年の智弁である。「今日までは高円に絞ってやってきた。次は五條。一戦一戦ですよ」と引き締めた小坂監督とともに、春の屈辱を内に秘めた朱色の強豪が逆襲の時を迎えた。

(文=氏原 英明


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