検証甲子園


2010年07月17日 佐藤薬品スタジアム  

高田商vs橿原学院

2010年夏の大会 第92回奈良大会 2回戦



高田商・豆越監督


就任1年目の指揮官、好スタートを切る

今春季大会4強の高田商がエース・松村の投打にわたっての活躍で3-0と快勝した。
「もっと打てると思っていたのですが、相手投手の押本君が素晴らしい投手だった。丁寧に投げてこられて、全く打てなかった。ディフェンスで凌いだ試合だったと思います」とは高田商の豆越監督。淡々とした受け答えが印象に残る就任1年目の指揮官である。

 個人的に、今大会注目している指揮官のひとりである。というのも、近年の奈良は、若い指導者の活躍が目立っている。たとえば、昨春の県大会を制した兼本監督は豆越監督と同世代で77年生まれ。智弁学園の小坂監督とも同い年だ。奈良大付・田中監督は73年生まれだし、この日対戦した橿原学院の竹村監督は80年生まれ。二階堂・小林稔監督、奈良・吉村監督、郡山・西岡監督は72年生まれの同い年である。

以前までは元郡山の森本監督など、ベテラン監督に頼りがちだった奈良県が変わり始めている。こうした若い指揮官の登場は、奈良県にとって喜ばしいのだ。もちろん、若い世代ばかりだけでも面白くないし、中堅世代だけでも、ベテランだけでも面白くない。各年代の指揮官が切磋琢磨することで、指導者のレベルも上がるというものだ。

指揮官の特集は、今後に委ねるとして、豆越監督の手腕は期待できそうだ。

高田商といえば、長年、山下善啓監督(現部長)が率いてきただけに、その後となると、プレッシャーや指導法の違いで難しさもあると思い「山下監督は、厳しい指導が特長の指導者、豆腰さんは大人しいように思えますが、どういう指導をされているのか」と尋ねたが、豆越監督は平然と答えた。
「僕のほうがしつこいと思います。ずっと言いますからね。選手が泣くくらいまで言うんで、選手もいやなんじゃないでしょうか」。
さらに聞いた。
ベテラン監督の後任というプレッシャーはあるのか。すると…… 
「前任校(出雲北陵)で監督をさせていただいた時も、同じような状況でした。ただ、前回は私学でしたし、このチームで結果を残すか上位に行けなければいけなかった。その時の方がプレッシャーは大きかった。今年のチームも自分の中では負けるわけにはいかないと思っているのですが、その時の経験は生きていると思います」と話した。

 一方で、野球スタイルだが、伝統の攻撃型を踏襲しつつ、守備面も力を入れているのが特徴だ。特筆すべきはカバーリングの徹底で、県内では智弁学園と並んで、そのこだわりが尋常じゃない。「今も、新チームはカバーリングの練習に取り組んでいます」というほど、徹底的している。ボールが一つ動くと9人が動くような形を徹底しているそうだ。

 今日の試合は持ち前の攻撃力が発揮できずに苦しんだが、それでも投手戦を制したのはカバーリングの徹底と守備力の堅さがあったからだ。「打撃に自信があるチームではあります。そういう練習もしているんで。でも、バッティングは水ものでもありますから、苦しい展開の中で、ディフェンスを締められたかなというのはあります」。

 高田商の若き指揮官、いや、年齢は若いかもしれないが、島根県で多くを学び、母校へと帰って来た指揮官はかなりやり手のような気がする。彼が何をもたらすのか。今後もその手腕に注目していたい。

(文=氏原 英明


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