2010年07月18日 佐藤薬品スタジアム
桜井vs高田
2010年夏の大会 第92回奈良大会 2回戦


高田のエース和田は7回途中で降板
高田の長身右腕・和田 悔やまれる配球
もったいない。
そう感じずにはいられなかった。
187㌢74㌔のいかにも投手らしいすらっとした体躯から投げ込まれる角度のあるストレート。高田の長身右腕・和田は見た目にも、そして、投げ込まれるボールにも、素材の高さを感じるものだった。
しかし、立ち上がりから彼が見せたのは、変化球を多投するピッチングだった。せっかくの恵まれた身長も変化球ばかりでは、長身投手との対戦がそんなに多くない桜井の脅威になれなかった。中盤からストレートが増え、そのポテンシャルの一端は見せたが、序盤に変化球を多投することによって振れなくなった彼の腕からは高い質のボールは、そう長く続かなかった。
和田に配球の理由を聞いてみた。なぜ、ストレートを序盤から投げなかったのか、と。すると、和田はゲーム前にプランがあったことをこう明かした。
「体力がないので完投するために、前半は変化球で行って、後半からはストレートで押していこうと思っていました。でも、変化球が思うように切れなかった。悪い面が出たのかなと思います」。
ピッチャーはストレートが走ってこそ、なのである。6回までは桜井打線を無失点に抑えたものの、7回裏に制球難からピンチを招くと、7回途中2死満塁、1失点を喫したところで降板指令。「球が走らなくなったから」と高田・河合監督はその降板理由を話したが、もったいないエースの降板である。
とはいえ、彼のポテンシャルには恐れいったものである。中学時代は全く無名で、軟式野球部出身。有名校から声が掛かった選手ではない。「スライダーが良くなって、インコースにも投げ込めるようになっていた」と河合監督はこの3年間を総括している。
もともと持っている能力と、その日の配球は別物である。本来の力が生きるピッチングをしなかったこと、だから、悔やまれるのだ。だが、彼には将来がある。「大学で野球をしたいと思っていますけど、まだ決まっていません。これから(セレクションなどを)受けたい」と涙をこぼさずに、将来を語った和田。
将来への可能性が確かに見える長身右腕、高校卒業後、彼が大学野球の世界に飛び込んでいることを心から願いたい。
それほど、このままにしておくには、もったいない素材である。
(文=氏原 英明)
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