検証甲子園


2010年07月27日 佐藤薬品スタジアム  

天理vs高田商業

2010年夏の大会 第92回奈良大会 準決勝



復調の兆しをみせる天理・安田

強気が戻った主砲・安田の復調

 今大会不調を極めていた天理の主砲・安田が3安打を放ち、復調の兆しを見せた。彼らしい、遊撃手の頭を超える痛烈な打球が出たことは彼らしさが戻ってきた証しだ。

「段々、調子が上がってきて、今が普通ぐらいです。最初がどん底やったんで……」と、自分の力はもっとあるという彼らしい主張は変わらないが、多少なりとも笑顔は戻ってきている。

 不調を極めていたのは、バッティングだけではない。3回戦の王寺工戦では守備面でのミスを連発、攻守にわたって精彩を欠いた。もともと、口数が多い方ではないのだが、ポジションにつきながら下ばかりを見ている安田の姿は彼の不調を物語っていた。何が彼を迷わせていたのだろうか。

 「夏ってことで、知らず知らずのうちに、プレッシャーになっていて、必死になり過ぎていた。楽しんで野球をやろうと思って、それができるようになってきました」。

 今日の試合では3安打もそうだが、三度の守備機会を難なくさばいた。二塁手・岩崎とのコンビでの併殺打もきれいに決まった。攻守にわたり、安田が持てる力を発揮できるようになってきた。

 故障者を多く抱える天理は、満身創痍の戦いが続いている。投手陣も、下級生が本来の力を発揮できず、エース・沼田に頼りきりの状態だ。チーム状況はさほど良くないが、序盤戦は脇役が活躍し、舞台が上がれば上がるほど主軸が打ち出す傾向は、黄金時代の天理の戦いぶりと似ている。

 ここへきての主砲の覚醒は、チームにとっても大きなプラス材料になるだろう。決勝戦はライバル智辯学園との対戦である。ライバル同士の決勝は実に13年ぶりだ。

 その13年前はというと、小南・長崎の二枚看板でセンバツ優勝を果たした天理が、智辯学園に足元をすくわれるという結果だった。今年の力関係も当時と似ているが、「前回は負けている」と安田に話すと、こう返してきた。

 「前回負けているっていうのは、気に食わないですね。それを聞いた以上は負けられない。智弁が必死で戦ってくると思いますけど、こっちも最後の夏なんで負けるわけにはいかない。受けるつもりもないし、最初から向かっていきます。先輩の分もきっちり返します」

 バッティングも守備も、そして、そんな発言が出るようになった話しぶりも、超が付くほどの負けず嫌いな安田の調子が戻ったということである。

 

(文=氏原 英明


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